昨日バトルフロント1にて行われた注目の1戦、「大和哲也VS大石駿介」
予想通りの接戦となりました。
この試合、自分はレフリーとして1番近くで「観戦」させてもらいました。
一夜明け昨日の試合を冷静に振り返ってみましょう。
12時半に会場入りした自分は関係者への挨拶より先に両選手の激励に控え室へいきました。
両選手共に変なナーバスな雰囲気もなく自信たっぷりの余裕の笑顔でお互いに「プロ」の顔をしていました。(駿介はまだ16歳のためまだですが)
お互いがこの試合の為に苦しい練習をしてきたという自信が「絶対勝てる」という信念を生み出します。
「この試合、絶対いい試合になる!」と感じました。
さて、3時50分、グローブマッチ開始、第1試合、青コーナー駿介から入場、
2005082828e8836c-s_1.jpg自らが選んだ曲、故アンディフグのテーマソングだったクィーンの「we will rock you」にのって入場。
対する赤コーナーから大和哲也、小さい頃から哲也を1番可愛がっていた姉の選曲、氣志団の「ワンナイトカーニバル」が流れると両選手の応援団が更に盛り上がりその中になんともいえない緊張感が会場全体に高まっていく。
「大和哲也VS大石駿介」と言うより「大和ジムVS大石道場」という看板をかけた試合だという意気込みは両選手のリングネームからも伝わってくる。
さて、そんな中で迎えた第1R、意外と静かな立ち上がりから中間距離での探りあいが続く。
そんな中で駿介のローキックに対して哲也の左ジャブ、右ストレートが効果的に決まる。
本来駿介はスピードあるヒットアンドアウェイを使ったアウトボクシングの上手い選手だが、哲也は重心を低くどっしり構え、駿介の動きにカウンターを合わせて行くと、明らかに駿介の表情に「いつもと違う」といった焦りが見え隠れする。
2R、哲也のカウンターに対しての駿介の焦りが出ると更にパンチのフェイントからの右のローキックもあたり始める。
しかしここから駿介のハートの強さが出始める。
パンチの勝負に出てきた哲也に対し駿介は真っ向から打ち合いに挑む。
2R中盤あたりからお互い足を止めての打ち合いになり駿介の右ストレート、左フックのクリーンヒットが何発か入る。
しかし、哲也も打ち返ししっかり顎を引いて気持ちが前に出ている打ち合いなので確実なダメージにはならない。
そして迎えた最終ラウンド、大石陣営はポイントでは負けていると判断し勝負に出る。
ゴングと同時に打ち合いに行った駿介に哲也が迎え撃つ。
これぞ格闘技の醍醐味といった激しい戦いの中で駿介の左目の下の辺りがパックリと割れた。
激しい出血だったのでタイムストップしドクターチェックに入る。
傷口は約2センチ、少し深いが「まだやれます!」と詰め寄る駿介とセコンド陣に「続けさせるが出血がひどくなってきたらストップする」と告げ再開。
もう後がない駿介は猛然と襲い掛かり迎え撃つ哲也。
見る見る駿介の顔が再び鮮血に染まって行く。
残り時間1分30秒を過ぎた辺りであまりにも出血がひどくなってきたのでストップ、哲也のTKO勝ちを告げた。
今回の哲也の勝因はどっしりした落ち着いた構えで駿介の動きが良く見えていた事。
本来駿介の距離は更にもう1歩踏み込んだ距離、しかし哲也は1Rの立ち上がりで駿介が踏み込んできたところに左ジャブ、右ストレートといったカウンターを合わせ入りにくくさせた。
お互いの勝負所だったのは2Rの中盤辺りの打ち合い、駿介は哲也があれだけどっしり構えているから正面から打ち合わずにもっと捨てパンチやフェイントを使って左へ回り込んでから蹴り技につないでいけば展開が変わっていただろう。
哲也はパンチにこだわりすぎ重心が前にかかりすぎていたため前蹴りやミドルキックが出ていなかった。中間距離でミドルキックを当てた後、重いパンチを返していけばKOチャンスもあったのでは。
さて、この名古屋のホープ同士の戦い、是非プロのリング再戦させたい!
若さ溢れるこの二人の戦いは高齢化してきたキック界に新たな風を巻き起こします。
是非、何年か後に名古屋大会で見たいですね~